ピロリ菌だけじゃない!知っておきたい「ピロリ菌以外のヘリコバクター属菌(NHPH)」のすべて
胃がんや胃潰瘍の原因としてよく知られている「ピロリ菌(Helicobacter pylori)」。しかし、ヘリコバクター属にはピロリ菌以外にも様々な種類の菌が存在することをご存知でしょうか?近年、これらの「ピロリ菌以外のヘリコバクター属菌(Non-H. pylori Helicobacter、略してNHPH)」についても、その存在や健康への影響が注目されています。
今回は、このNHPHについて、感染経路、考えられる症状、そしてピロリ菌との違いなどを分かりやすく解説します。健康意識の高いあなたに、ぜひ知っておいていただきたい情報です。
ピロリ菌以外のヘリコバクター属菌(NHPH)とは?
ヘリコバクター属は、らせん形をしたグラム陰性菌の一種で、主に胃や十二指腸などの消化管粘膜に生息します。ピロリ菌はその中でも最もよく研究されており、ヒトの胃に定着する能力が高いことが特徴です。一方、NHPHは、ピロリ菌以外のヘリコバクター属の総称です。
これまでに約30種類以上のヘリコバクター属菌が発見されており、その多くはヒト以外の動物(主にげっ歯類や猫など)に感染することが知られています。しかし、一部のNHPHはヒトにも感染し、消化管に影響を与える可能性が示唆されています。
NHPHの感染経路は?
NHPHの感染経路は、ピロリ菌と同様に、主に以下の経路が考えられています。
- 経口感染: 汚染された水や食べ物を摂取することによる感染。特に衛生状態の良くない環境下でのリスクが高まります。
- 人から人への感染: 家族内など、濃厚接触による感染。口を介した感染(オーラルルート)が疑われています。
- 動物からの感染: NHPHを持つ動物(特に猫やげっ歯類)との接触や、その排泄物などを介した感染。
ピロリ菌と比較すると、NHPHのヒトへの感染率はそれほど高くないと考えられていますが、特定の状況下では感染リスクが高まる可能性があります。
NHPH感染による症状は?
NHPHによる感染は、ピロリ菌感染と同様に、胃炎や消化性潰瘍などの症状を引き起こす可能性があります。しかし、NHPHの種類や感染した人の免疫状態によって、症状の現れ方は異なります。
一般的に報告されている症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 胃痛や腹痛
- 吐き気や嘔吐
- 食欲不振
- 胃もたれ
- 下痢
ただし、これらの症状は他の胃腸疾患でも起こりうるため、NHPH感染を特定するには専門的な検査が必要です。また、無症状のまま経過する人も少なくありません。
ピロリ菌とNHPHの違いは?
最も大きな違いは、ヒトの胃に定着する能力です。ピロリ菌は、胃酸から身を守るメカニズムを持っており、ヒトの胃に長期間定着して慢性的な炎症を引き起こすことが知られています。
一方、多くのNHPHは、ピロリ菌ほどヒトの胃に定着する能力が高くないと考えられています。そのため、感染しても自然に排除されたり、症状が軽度で済んだりするケースが多いと考えられています。しかし、一部のNHPHはヒトにも定着し、ピロリ菌と同様の病態を引き起こす可能性も研究されています。
もし気になる症状があったら?
もし、胃の不調が続く、またはNHPH感染について不安がある場合は、まずはかかりつけ医や消化器内科を受診することをお勧めします。
医師は問診や検査(内視鏡検査、血液検査、便検査など)を通じて、原因を特定し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。自己判断せず、専門家の意見を聞くことが大切です。
まとめ
ピロリ菌以外のヘリコバクター属菌(NHPH)は、私たちの身近に存在する可能性のある微生物です。感染経路や症状はピロリ菌と似ている部分もありますが、ヒトへの定着能力や影響の度合いは異なる場合があります。
日頃から衛生的な生活習慣を心がけ、体調の変化に注意を払うことが、健康維持につながります。もしご自身の健康について気になることがあれば、専門家にご相談ください。
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