「あなた」と「私」で決める、最善の治療法。SDM(Shared Decision Making)で医療をもっと身近に!

「先生、この病気にはどんな治療法があるんですか?」

病院でそう尋ねたとき、あなたはどのような説明を受けましたか?多くの人が、医師からいくつかの選択肢を提示され、その中から「これが一番良いでしょう」と勧められる、あるいは「あなたにはこの治療法が適しています」と一方的に伝えられる、といった経験をしたことがあるかもしれません。

しかし、近年、医療の現場で重要視されている考え方があります。それがSDM(Shared Decision Making:共同意思決定)です。

SDM(Shared Decision Making)とは?

SDMとは、患者さんと医療者が、それぞれの知識や経験、価値観を持ち寄り、共に治療法について話し合い、最終的な意思決定を共有するプロセスのことです。一方的に医療者が決めるのではなく、患者さんの「この治療法は避けたい」「こういう生活を送りたい」といった希望や懸念を丁寧に聞き取り、それを踏まえた上で、医療的な観点から最善と思われる選択肢を一緒に見つけていくアプローチと言えます。

なぜSDMが重要なのか?

SDMが重要視される背景には、いくつかの理由があります。

  • 患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の向上:治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、副作用の出方や回復までの期間も異なります。患者さん自身の生活スタイルや価値観に合った治療法を選ぶことで、治療による負担を軽減し、より質の高い生活を送ることが期待できます。
  • 治療への主体的な参加:自分で決めた治療法は、納得感を持って取り組むことができます。これにより、治療へのモチベーションが高まり、良好な結果につながる可能性も高まります。
  • 医療者との信頼関係の構築:患者さんの声に耳を傾け、共に意思決定を行うプロセスは、医療者との間に深い信頼関係を築きます。これは、長期にわたる治療において非常に重要です。

SDMを実践するために大切なこと

SDMは、患者さん側にも医療者側にも、いくつかの大切な姿勢が求められます。

患者さんにしてほしいこと

  • 疑問や不安は遠慮なく伝える:説明を聞いて分からないこと、不安なことは、どんな些細なことでも質問しましょう。「こんなことを聞いてもいいのかな?」とためらう必要はありません。
  • 自分の希望や価値観を伝える:治療法を選ぶ上で、あなたが大切にしたいこと(例えば、痛みを避けたい、仕事への影響を最小限にしたい、家族との時間を大切にしたいなど)を具体的に伝えてください。
  • 情報を整理して臨む:事前に病気や治療法について少し調べておくと、より建設的な話し合いができるでしょう。ただし、インターネットの情報だけで判断せず、必ず医療者と相談することが大切です。

医療者に期待されること

  • 分かりやすい言葉で説明する:専門用語を避け、患者さんが理解できる言葉で丁寧に説明することが求められます。
  • 複数の選択肢を提示する:それぞれの治療法のメリット・デメリット、期待される効果、起こりうる副作用などを、公平に伝える必要があります。
  • 患者さんの価値観を尊重する:医療的な観点だけでなく、患者さんの生活背景や価値観を理解し、尊重した上で、共に最善の道を探る姿勢が重要です。

SDMは「あなた」のための医療

SDMは、単に「患者さんの意見を聞く」というだけでなく、「あなた」という一人の人間が、自身の健康と人生において、最も納得できる選択をするためのパートナーシップです。

もしあなたが、これからの治療法について悩んでいるのであれば、ぜひ主治医にSDMについて話してみてください。「一緒に考えましょう」という姿勢は、きっとあなたの医療体験をより良いものに変えてくれるはずです。

あなたの健康は、あなた自身が主体となって築いていくものです。SDMという考え方を理解し、積極的に活用することで、より自分らしい健康管理を目指しましょう。

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