SpO2モニタ外れ、心肺停止の悲劇…「1時間ごとの巡回」だけでは不十分?医療現場の監視体制を改めて考える

SpO2モニタ外れ、心肺停止の悲劇…「1時間ごとの巡回」だけでは不十分?医療現場の監視体制を改めて考える
Photo by Anna Shvets on Pexels

先日、とあるニュースが目に留まり、深く心を痛めました。それは、SpO2モニタが外れた患者さんが心肺停止で発見されたという悲しい出来事。しかも、その背景には「1時間ごとの巡回をしきれず」という状況があったと報じられています。このニュースから、私たちは医療現場の監視体制について、改めて真剣に考える必要があると感じています。

患者さんの命を守るための「監視」とは

医療現場において、患者さんの状態を把握し、異変にいち早く気づくための「監視」は、文字通り命綱です。特に、意識がない方や自力で訴えられない方にとって、モニタリング機器や看護師さんの巡回は、何よりも大切な命を守る砦となります。

今回報じられたのは、SpO2モニタという、血液中の酸素飽和度を測る重要な機器が外れてしまい、異変に気づくのが遅れてしまったという状況です。そして、ニュースでは「1時間ごとの巡回」という言葉が示唆するように、決められた間隔での確認が、必ずしも十分ではなかった可能性が示されています。

「1時間ごと」の限界を考える

1時間ごとの巡回」は、多くの医療機関で基本的な看護業務として定められていることでしょう。しかし、患者さんの状態は刻一刻と変化するものです。例えば、SpO2モニタが外れるような小さな異変であっても、それが急速な状態悪化の引き金になったり、すでに進行している異変のサインであったりする可能性も考えられます。

ニュースの詳細は報じられていませんが、もしモニタが外れた直後に異変に気づけていたら、結果は違ったものになっていたかもしれません。この悲しい出来事は、医療従事者の皆さんがどんなに努力されていても、現在の監視体制だけでは手が届かない部分があるのではないか、という問いを私たちに投げかけています。

医療現場の監視体制、何ができるのか?

では、私たちはこの悲劇から何を学び、どのような対策を考えるべきなのでしょうか。医療現場の監視体制を強化するために、いくつかの視点から考えてみましょう。

人員配置と業務負担

まず、根本的な問題として、医療現場の人員不足や看護師さんの業務負担の大きさが挙げられます。十分な人手がいなければ、たとえ「1時間ごとの巡回」というルールがあっても、他の緊急対応や業務に追われ、思うように巡回できない状況も起こりえます。適正な人員配置は、監視体制の基盤となります。

テクノロジーの活用

次に、テクノロジーの活用です。現在のSpO2モニタは、外れるとアラームが鳴るものがほとんどですが、それが医療従事者に確実に伝わり、すぐに対応できるようなシステムになっているでしょうか?

  • もし、モニタが外れた際に、すぐにナースステーションや担当看護師の携帯端末に通知が届くような仕組みがあれば、より迅速な対応が可能になるかもしれません。
  • また、患者さんの状態をAIが継続的に分析し、異常を早期に検知するようなシステムの導入も、将来的には有効な手段となり得るでしょう。
  • 見守りセンサーやカメラなど、患者さんのプライバシーに配慮しつつ、異常を検知できる技術の導入も検討の余地があります。

医療従事者と患者・家族の連携

そして、医療従事者と患者さん、そのご家族との連携も重要です。患者さん自身やご家族が、SpO2モニタの重要性や、異常があった場合の伝え方を知っていれば、早期発見につながる可能性も高まります。

悲劇を繰り返さないために

今回のニュースは、医療従事者の皆さんが日々抱えている困難を改めて浮き彫りにしたように感じます。彼らは患者さんの命を守るために、日々多大な努力をされています。しかし、今回の悲劇は、現在のシステムや人員体制では対応しきれない限界があることを示唆しています。

私たちは、この悲しい出来事を決して他人事として終わらせてはなりません。医療現場の安全性を高めるためには、国や医療機関、そして私たち一人ひとりが、この問題に真剣に向き合い、具体的な改善策を考えていく必要があります。

患者さんの命がこれ以上失われることのないよう、今回の教訓を活かし、より安全で質の高い医療が提供されることを心から願っています。

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